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Concerts/Live ShowsNo. 291

#1223 羽野昌ニのヨーロッパ・ツアー・レポート

text by Shoji Hano 羽野昌二

Hans Peter Hiby とのヨーロッパ・ツアー

2019年に始めた私とHans Peter Hiby氏とのGermanyと日本に於いてのTourの構想は、2020年のコロナのため延期となっていた。

2021年12月、近藤(等則)スタジオのクローズのためのイベントに行ってパートナーのおシズさんと話をした折り、「今やるべき事を今すぐやる」が近藤さんのモットーだったと言われて…そうだ「今やるべき事を今やるのだ」と実感したのだった。

2022年 5、6月Hiby とのGermany Tourを実現させた。Hiby(ヒビ)とは1990年5月〜8月のEurope tourの折りに(Peter) Broetzmannに紹介されて、その後数年私がEuropeに行くたびに会ってはいたが、共演した事はなかった。時は流れて2019年、Hibyから一緒に演奏しようと連絡が来た。

今回、お互いにCDでの演奏しか知らない中で演奏(Live)が始まった。1回目よりも2回目。2回目よりも3、4、5…。重ねる毎に互いの集中力が深まっていくのだった。Hibyのsaxはよりメロディックで美しい音色の内にfreeのバイブレーションが共鳴している奏法なのだ。

私は思った。ああ、彼には私の強烈なDrummingが必要だったのだと。彼の心からの優しさを普段の生活の中と演奏から実感したtourだった。

メールス・フェスティバル
©Elmar Petzold

 

今回の開催は6月3日から6日まで、私は4日がメインの演奏で野外ステージにて15時45分から50分程H.P.Hiby(sax)とのDuo。当日は日差しが強く演奏前のチューニングは汗が酷くてTシャツを脱いで行ったほど。会場はステージが丘の下に作られて、観客は丘の斜面の芝生に座る感じで、我々の演奏時は300人〜400人程と聞いた。この時の演奏はYou Tubeでの配信ありと聞いてたが、日本では音声のみで映像はなかたったようだ。この会場では比較的コンテンポラリーなライブが行われて、メインストリーム的なメジャーに近いライブはメインホールて行われた。私とHibyとはセッションも行い、3日はHibyが町中のカフェでドラム、ベースとのトリオで演奏、私はミュージックホールで2人のsaxにベースで夜中12時30分に25分間演奏した。ちなみにHibyの演奏はFreeJazzでこちらは30分2セット。私は20分間スピードと音量で突っ走った。5日はオフで、夜に聞きたいライブがあったので16時頃には会場近くで食事などしてノンビリしていたら、突然の雷雨に強風で、ライブに行く事なくホテルに戻った。残念…。さて最終日Hibyの企画したAnnexステージでの演奏が16時30分から40分、2ドラム、2saxにベースでの大音量ライブだー!

まだまだコロナの影響が根深く、ボランティアや警備員などとの連携も取れにくく、以前のメールスとは比較出来ないが、資金面その他運営は本当に大変なのだと痛感した。今回は特に50周年でもあり、何とか出来る範囲で少人数でやり通したのだと感じた。

今回のHibyさんとの演奏、Tourを通して常に実感していたのは、物事をやり通す事に対する人々への心からの優しさや関係する方々への思いやりなど…Hibyはとにかく心から優しい人間だということ!

ペーター・ブロッツマンの現状

 

ブロッツマン・ヒビ・羽野

もうひとつ書き留めておきたいことは、15年振りにBroetzmannと会って数回に渡って話し合ったこと。彼はCOPD(慢性閉塞性肺疾患)を患い相当に体調が良くない。肺の 50%が機能していないのだ。しかし、彼は来春予定している私とHibyの日本tourに合わせて最後にもう一度来日したいと願っている。私も日程を調整して、何としてもBroetzmannの来日を実現する。(Hibyの来日は今年10月の予定だったが、Europe Tourの状況により来年3月に変更した)

両氏の来日には現在の状況下ではかなりの費用がかさむと思われ、皆さんのご協力が必要です。謹んでお願い申し上げます。

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羽野 昌二  Shoji Hano  Drummer
1955年3月、福岡県北九州市小倉生まれ。4歳頃から小倉祇園太鼓を始め、15歳でドラムを始める。1974年京都に移住、アヴァンギャルド・ジャズの演奏を始め、75年阿部薫(sax)と共演、同時期に近藤等則(tp)と出会い武道「新体道」を紹介され、新体道の哲学概念を取り入れた独自のドラミングを展開することとなる。07年ドイツのメールスJazz festival、スイスPoschiavoのUncool festivalなどに招待され演奏以降、毎年のように渡欧、精力的に演奏活動を展開している。http://shojihano.com/ja/
CDに、『Hano Shoji and Derek Bailey/Fish』(P.S.F.,2001) 、『Peter Brötsmann and Shoji Hano/Funny Rat』(IMJ 2003,2008)、『羽野昌二+中村大 Duo/Soft Core』(E.G.G. Music, 2017)他。

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