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Concerts/Live ShowsNo. 301

#1256「And the music continues to evolve vol.19」
“Essence of Human Music  Ⅲ”

text & photos by Kotaro Noda  野田光太郎

2023年3月25日
渋谷:公園通りクラシックス

五十嵐あさか Asaka Igarashi (cello, voice)
松本ちはや Chihaya Matsumoto (percussion, voice)
植川縁 Yukari Uekawa (alto saxophone, soprano saxophone, suling, voice)
梶山真代 Mayo Kajiyama (flute, voice)


「どこまでも粒子が飛び交っているような、カラフルなカオス 」 

私(野田光太郎)が企画した「即興カルテット」(仮称)の三回目となるライブが3月にあった。この四人ならではの、美しくも瞑想的でありながら、大胆不敵にしてしなやかな内容で、過去の演奏をもはるかに超える圧巻の充実ぶりだった。クラシック、現代音楽、ワールドミュージック、ジャズ、そして日本の伝統音楽...。さまざまの要素が複雑に入り組み、演奏家の個性の中で熟成された、そのぶつかり合いと絡み合いの妙味は、他に類を見ない唯一無二の境地。終盤の一部分を撮影し、動画としてyoutubeに公開しているので、ぜひ見てもらいたい。

今回、観客として来場してくださった踊り手の小玉陽子さんにすてきな感想を寄せていただいたので、許可をいただいて以下に掲載する。こういったライブに触れる機会の少ないがゆえの、新鮮な視線がかえってまぶしい。お読みください。(野田光太郎)

お知り合いがお勧めしてくれたライブ。
女性四人のセッション、何故かふしぎな風通しのよさ?そんな予感を感じてお伺いした渋谷・公園通りクラシックス。
クリームの色調と床の茶色が心地よかった。
開演前に控えスペースから女性たちの笑い声が聞こえて、やはり心地よい風。再びすてきな予感がしました。
にこやかに二人の女性が出てくると、おもむろに椅子に座り、ふぅっと音を奏でました。
空気が、一瞬で変わったような。静かな何処かへ、一緒に入って行くような、そんな始まり。
その後、ふと気づくと新たな一人が入り、それを迎えると一人は去って行く。新たな呼吸、音、交流が始まる。景色が変わる。
休憩を挟んだ後半は、四人が入りさまざまなセッション。

印象深いのは、同じ奏者の方なのに、世界や質感があまりにもゆたかに変容することでした。
そして、同じ楽器からこんな音が?というおどろき。時に ただ静かにリズムを刻む身体が力強く、音と声が自然に調和して 織り重なる河のようだったり
硬質さと柔らかさ   深くて暗いなにか
琴線に触れるなにか、
気づくと泣きたくなっている瞬間、意味は分からない奥のところが。
木漏れ日のような、どこまでも粒子が飛び交っているような、カラフルなカオス、そんな景色も。
彼女たちのエネルギー、音色が、七色に行き来し、旅し、何かが立ち昇る、そんな時空空間。

そこに包まれて、本当に至福でした。細胞に粒子が染みてきて喜んでいるのを感じて。あの場にいた身体には、共鳴が起きていたように思う。(小玉陽子)

野田光太郎 

野田光太郎 Kohtaro Noda 1976年生まれ。フリーペーパー「勝手にぶんがく新聞」発行人。近年は即興演奏のミュージシャンと朗読家やダンサーの共演、歌手のライブを企画し、youtubeチャンネル「野田文庫」にて動画を公開中。インターネットのメディア・プラットフォーム「note」を利用した批評活動に注力している。文藝別人誌「扉のない鍵」第五号 (2021年)に寄稿。

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