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このパフォーマンス2017(海外編)特集『クリス・ピッツィオコス』No. 237

#03 クリス・ピッツィオコス JAPAN TOUR 2017

text by  剛田武  Takeshi Goda

筆者が個人的に今一番面白いと感じ熱心に通っているアイドル・シーンでよく使われる言葉に「見つかる」というのがある。小さなライヴハウスでごく一部の熱心なファンだけを相手に活動している地下アイドルが、SNSやメディアをきっかけに多くの人に知られて、突然人気者になることを意味する。アイドルヲタクと呼ばれるファンは、応援するアイドルが早く「見つかって」より大きな舞台で活躍できることを祈って、口コミやツイッターで話題にするのである。もちろん人に知られずに自分だけのものにしたいという独占欲もないわけではないが、それではアイドル本人のモチベーションが失われ、経済的にも活動できなくなくなってしまう。

今思えば、クリス・ピッツィオコスの来日ツアーも文字通り「見つかる」ことによって実現に至ったと言えるだろう。筆者だけでなく、本誌コントリビューターの斉藤聡氏や定淳志氏をはじめ、熱心な音楽ファンがYouTubeやSNSで「見つけ」て話題にすることで、巻上公一や吉田達也に伝わり、彼らの尽力で来日ツアーが実現、多数の日本のアーティストと共演し、特に大友良英は気に入ったようで、さっそく12月上旬にニューヨークを訪れデュオ・ライヴを行ったほど。巻上公一とは12月下旬にThe Stoneレジデンシーで共演。「見つかる」ことから国境を超えた交歓の輪に発展するという、地下音楽ヲタク冥利に尽きる出来事であった。

来年も推しの地下音楽家や地下アイドルが早く「見つかる」よう、ヲタク活動によりいっそう励みたい所存である。

(剛田武 2017年12月17日記)

 

https://jazztokyo.org/reviews/live-report/post-21362/

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剛田武

剛田 武 Takeshi Goda 1962年千葉県船橋市生まれ。東京大学文学部卒。サラリーマンの傍ら「地下ブロガー」として活動する。著書『地下音楽への招待』(ロフトブックス)。ブログ「A Challenge To Fate」、DJイベント「盤魔殿」主宰、即興アンビエントユニット「MOGRE MOGRU」&フリージャズバンド「Cannonball Explosion Ensemble」メンバー。

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