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特集『ECM: 私の1枚』

柳原由佳『The Melody At Night, With You』
『ザ・メロディ・アット・ナイト,ウィズ・ユー』

大変美しく、まるで映画を見ている様なピアノソロアルバム。

1曲目「I loves you porgy」のメロディが鳴り出した途端、視界に映る見慣れた街並はまるでフィルム映画の1シーンの様に洗練された街に見えてくる。

はたまた、色んな事があって身も心も疲れてヘトヘトになった日にこのアルバムを流す。
そっと心に寄り添い癒してくれる。
さっきまでささくれ立っていた心がすっかり力も解れて優しい気持ちになる。
車の運転だって優しくなる。

理由は全てこのKeithが奏でる美しいピアノ、旋律。更には彼が奏でるピアノとその周りの空気感もそのままに伝わってくるこのアルバムの力であろう。

自分は拙いながらもアルバムを何枚かリリースしている身であるが、アルバムを制作するにあたってのコンセプト、理想は「何度聴いても飽きないシンプルな音楽」、そして「疲れていても聴く事が出来る音楽」であることを軸としている。
聴いていて元気を喝を貰う作品も好きで作りたいと思う時もあるが、私の担当はやはり「癒し」なのかなと思う。

ECMレーベルの音でもあるが、しっかりKeithのアルバムでもある。
同じECMのソロアルバムであってもフリーインプロが多い。
それも好きなのだが、シンプルであり曲の良さを最大限に活かしたこのアルバムはいつ聴いても心にしっくり来る。

自分の理想とするアルバム。
目指せば目指す程にその目標は遥か彼方先に見える星に見えてならない。


ECM 1675
Keith Jarrett (Piano)
Recorded 1998, Cavelight Studio
Produced by Keith Jarrett


柳原由佳 やなぎはらゆか
ピアニスト、作編曲家。幼少期からJazz、Bossa Nova、Pops 等さまざまな音楽に触れる。甲陽音楽学院を経て、Berklee College of Music, Jazz Composition Major を卒業。Boston, New York, Pennsylvaniaにてライブやレコーディングを行う。帰国後は自ら率いるピアノトリオの他、ジャンルを問わず様々なバンドやレコーディングに参加。リーダーアルバムとしては、山田吉輝(b)、則武 諒(ds)との柳原由佳トリオで『Remember My Places』、『Inner Views』、ピアノソロ『Piano Solo 1』、筒井裕之(g)とのデュオアルバム『GUITAR x PIANO』、山田吉輝とのデュオアルバム『Embrace』をリリースしている。2022年には、山本玲子(vib)と相川 瞳(perc)とのトリオユニットMagnoriaによる『El viento y las flores』、古市響平とのダブルリーダーで山田吉輝と則武 諒が加わった『The Quartet』をリリースしている。現在は関西と関東の2つ拠点を中心に活動中。演奏だけでなく作編曲の提供も行っている。
公式ウェブサイト yukayanagihara.com

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