#06 『Subtle Degrees / A Dance That Empties』
text by Keita Konda 根田恵多
New Amsterdam Records (NWAM093)
Travis Laplante – tenor saxophone
Gerald Cleaver – drums
1.A Dance That Empties I
2.A Dance That Empties II
3.A Dance That Empties III
NYを拠点に活動するサックス奏者トラヴィス・ラプランテと、現代ジャズ界で八面六臂の活躍を見せるジェラルド・クリーヴァーのデュオ。彼らの経歴やデュオ結成の経緯については、本誌241号掲載のレビューを参照してほしい。
このデュオの演奏を聴いてまず耳に留まるのが、各種の拡張的奏法を巧みに用いながら、永遠に続くのではないかと思うほど吹き続けるラプランテのテナーサックスだ。倍音をたっぷり含んだ柔らかい音を延々と聴いているだけでも、脳味噌から快楽物質がドバドバと放出されるのを止められなくなってしまうのだが、それにジェラルド・グリーヴァーのしなやかなドラムが完璧にマッチしている。特にシンバルの使い方が驚異的で、繊細で美しい響きを実に効果的に重ねてくる。このシンバルの響きには、『Interstellar Space』でジョン・コルトレーンがシャンシャンと鳴らす鈴の音のような、ある種の神秘性すら感じてしまう。
スーフィーの旋回舞踊のように廻り続ける2人のダンスを、ぜひ頭を空っぽにして体感してほしい。ものすごく気持ち良いぞ。