JazzTokyo

Jazz and Far Beyond

閲覧回数 1,167 回

R.I.P. 及川公生No. 325

及川サウンドは世界最高の音 by 伊藤秀治

3361*BLACKでの及川公生氏作品

3361*BLACKレーベルは及川さんそのものです。及川サウンドは世界最高の音です。との確固たる思いで共に歩んだ30年です。1作ずつ収録後のプレイバックは絶えず充実感に包まれていました。そしてタイトル数が進むにつれ、「大好きな及川サウンド」への思いは増幅していきました。今度は他のエンジニアさんで、なんてことは一瞬たりとも考えたことなく気づけば全タイトル「及川サウンド」です。1000曲近く録ったでしょうか、後ろでコーヒー飲みながら安心して及川さんの背中を見続けてきました。いい音がモニタースピーカーから流れるのって、ホントに嬉しくて、楽しくて・・・。

レコーディングは当然制作プランはあるのですが、ミュージカル・ディレクションから始まるケースはあまりなく、つまり前例のないサウンド・コンセプトや編成が私からミュージシャンに伝えられるところから始まるわけなので、及川さんもそれを横で聞いていて・・というところからマイク・アレンジ・プランをスタートさせていたことでしょう。音が鳴り出すまでは、頭の中でマイクロフォンをあっちに置いたりこっちに置いたりしていたのでしょう。
いざ音出し、となると、レコーディング慣れしたミュージシャンは、「音、出しましょうか」と及川さんに。真っ先にドラマーが。(そういう現場が多いらしい) 及川さんは「いいですよ、練習していてください」とひと言。そして、楽器の間を縫って歩いてマイクをあちこちに立てて行く。どうもその間に今日のユニットの音を、そして各ミュージシャンの音を聴き取っていたのでしょう。「今日の音」を。
モニター室に戻って卓を少しいじっていたかと思うと、モニタースピーカーからヒョイっと鳴らし、こちらを振り返って「どう?」と。紛れもなく「今日の音」だ。
私は「グッド・ジョブ」なんてキザに頭の中で呟き、でも、いつものようにただうなづく。
つまり、向こうでミュージシャンが鳴らしあっている音をこっちに来てスピーカーからそのままを鳴らせばいいだけのこと、という一番簡単で一番難しいこと。しかもこれがごく短時間でのこと、驚愕だ。
これは、少し違う言い方をすると、楽器本来の音、そしてそれを操るミュージシャンの音を“歪めず”に捕らえているということになります。それが音楽の真髄だとの共有認識を持ち続けた及川さんとの30年の制作でした。

エンジニアが音を作ってしまっているケースやコンピューターに委ねていたり、これからはAIのことも考えなくてはいけないし、だからこそ少し声を高めて言いたいですね。及川サウンドの魅力を。
及川サウンド !! 、これからの音楽界こそど真ん中に置くべき音質です。音楽ファンには身体の真ん中に染み込ませていただきたい。
タッグを組ませてもらった充実、ディレクションを絶えず及川サウンドが包んでいてくれた幸せ、感謝です。って月並みでゴメン !
及川さん ! 、楽しかったですね、あの“録り”の緊張感。あの空気感はもう味わえませんが、残ってますよ、たくさん「音」が。そして、ずーっと残って行きますよ、「音」は。これは幸せなことですね。

及川公生氏とPHOTON(フォトン)と筆者

この時の録音→ https://music.apple.com/jp/album/257613697

及川公生氏のレコーディングの様子

A : この時の録音→ https://music.apple.com/jp/album/278085697
B : この時の録音→ https://music.apple.com/jp/album/1572592592
C : この時の録音→ https://music.apple.com/jp/album/1571436391
D : この時の録音→ https://music.apple.com/jp/album/258293196
E : この時の録音→ https://music.apple.com/jp/album/266979487
F : 生徒たちに及川氏が現場で指導 / この時の録音→ https://music.apple.com/jp/album/257611813

LtoR 伊藤秀治 producerフランソワ・ムタンdb ヴァンソン・セガルcello レーヌ・ベンサイ assistamt engineer

この時のアルバムがコレ;
https://music.apple.com/jp/album/278085697


伊藤秀治 / Hideharu Itoh
アコースティック・プロジェクト。
3361*BLACKレーベル(from Paris,Tokyo,Yamanakako)はじめ、会館コンサート、イベント(Mt.Fuji Jazz Fes.)、施設プランニング(Kawaguchiko Open-air Amphitheater)、他、すべてアコースティックを基軸にプロデュース。

♬ 3361*BLACKレーベル : https://www.youtube.com/@3361BLACK
♬ レンタルスタジオ“acoustic studio REALOVE ”主宰 : https://x.gd/JRjAL
♬ 執筆 : https://note.com/itoh_hideharu/magazines

コメントを残す

This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.