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CD/DVD DisksNo. 258

#1639 『橋爪亮督|中村真/プレイ・スタンダーズ Vol.1』
『Ryosuke Hashizume | Makoto Nakamura / Play Standards Vol 1』

text by Masanori Tada 多田雅範

にはたづみレコード NRCD0010 ¥2500(税込)

橋爪亮督 (ts)
中村真 (p)

01.The masquerade is over
02.You are my everything
03.What is this thing called love?
04.The night we called it a day
05.Liebeslied
06.The song is you
07.It never entered my mind
08.I concentrate on you
09.Last night when we were young
10.Blackberry winter

Recorded at SOUND OF ART, February 25, 2019
Recording and Mastering Engineer: kazuhiro Kobushi (WAON Records)
Piano technician: Makoto Kano (ALT NEU Artistservice)
Produced by Ryosuke Hashizume and Makoto Nakamura
Executive producer: Makoto Nakamura(にはたづみレコード)


深く、スローに、いい感じで、吹いてみました、弾いてみました、然としている、

聴いたことのない水準の録音に出会ったので、書きますと編集部にねじ込んだまではよかったものの、タダマス現代ジャズECM越境はぐれリスナーが、ジャズの王道、デュオ・アルバムに、スタンダーズ集に対してレビュー、何をか書けるものかいね、

そしてそれは残像のようでもある、渋谷毅がとなりにいるようでもある、

tactile sounds vol. 14 綜合藝術茶房 喫茶茶会記  2014-02-24
https://toomuch1.hatenadiary.org/entry/20140224/1393244818

このブログ記事のときにわたしは聴いていた、

「tactile sounds 14 で橋爪亮督・森重靖宗と共演していた中村真のピアノの強度が忘れられない、逸材を通り越してる、ううむ、イーストワークスからピアノソロ3枚CDが出ていて、どれも素晴らしいんだなこれが、ジャズピアノっぽくも甘くもシャープでもなく、指がこたえを知っているような、正攻法を極め過ぎる!、いや、普通に聴こえるだろう?「そのように」弾いているのだから、トーマスモーガンと何喰わぬ顔で共演させてみたい、おいアイヒャー、」2016.10.17わたしのブログ

tactile soundsはジャズ批評家・益子博之が橋爪亮督をメインに据えて企画されていたライブ・シリーズで、橋爪はマーク・ターナーやブラッド・メルドーと同じ世代の感覚を持つサックス奏者として彼のグループをはじめわたしも注目し続けている存在だ、そういえばこないだ米澤恵実・橋爪亮督・市野元彦のライブ(世界に誇るべきすごいメンツだ)で「今日は、いい感じで、やります」とアナウンスされていたのだ、それはもう浮遊感をデフォルトにしたインタープレイと記せばいいのだろうか、その境地は正しく21世紀的な身体のありようだし、世代的に新しい種族の感覚だ、

このデュオ録音を聴いていると、わたしが偉そうに能書き垂れている押しももちろんそうなんですけどねたださんと言われそうだが、そうさな、菅原洋一が『スーパー・コレクション〜AMOR/初恋』2007でサザンの「TSUNAMI」をカバーした、桑田佳祐が歌うオリジナルを越えてしまう歌唱、に、匹敵するスタンダード・ナンバーの “いい感じ” を更新していると言ってみたい、いや、これを言いたくてレビューしているのではないか、

デュオというと名手チャーリー・ヘイデンの録音はすべてコンプリート耳コピーしているが、どうよ、この橋爪〜中村の演奏は、この達観、佇まい、ジャズ史のみんなに問いただしたい、わかるかおまえ、

35年経ってスタンダーズ・キース・ジャレットをバッサリ斬ってしまう録音を日本の自主レーベルが成し遂げている、紛れもない傑作に立ち会っている、さらばジャズと言おう、那須塩原の山荘で大きめのスピーカーで鳴らすと風景の中にそのまま溶けるように音は自然と同化するのだった、風土の中でのこのようなありようを感じてしまうと、遠い国で奏でられた技巧押し出しジャズの艶やかさははしたないばかりであり、


♫ 録音評(及川公生)
https://jazztokyo.org/reviews/kimio-oikawa-reviews/post-44133/

多田雅範

Masanori Tada / 多田雅範 Niseko-Rossy Pi-Pikoe 1961年、北海道の炭鉱の町に生まれる。東京学芸大学数学科卒。元ECMファンクラブ会長。音楽誌『Out There』の編集に携わる。音楽サイトmusicircusを堀内宏公と主宰。音楽日記Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review。

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