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R.I.P. パレ・ダニエルソンNo. 315

追悼 Palle Danielsson by 中島 仁

Text by Hitoshi Nakajima 中島 仁

Palle Danielssonを初めて聴いたのは恐らくJan Garbarekの『Witchi-Tai-To』だったと思うが、実はその時は特に印象に残らず、初めて意識して聴く様になったのはやはりKeith Jarrettのヨーロピアン・カルテット以降だと思う。その後、Michel Petrucciani TrioやPeter Erskine Trio、John Taylor Trio、自身のリーダーグループやTrio M/E/DなどでのRita Marcotulliとのプロジェクト、実姉Monica Dominiqueとのアルバム等々、気がつけば自分の愛聴盤に数多く参加しているベーシストで、こうやってあらためて見返してみるといずれの作品も素晴らしく、今も光彩を放ち続けているのは凄いことだと思う。

彼のベースサウンドとグルーヴは特徴的で、ほぼ一聴してPalleだと分かる。それは強靭でありながら柔軟かつウォーム、優しい人柄が見え隠れする演奏。ECMに多くの演奏を残すミュージシャンとしては比較的ポップなセンスを持ち合わせており、それ故に他の代表的なECMベーシストのような冷徹かつ孤高な存在とは異なる立ち位置に居た様に感じる。

そんな中でも私が最も敬愛するピアニストであるJohn Taylorとの活動、すなわちECMのPeter Erskin TrioとACTのJohn Taylor Trioでの諸作品はどれもお気に入りだが、それぞれ1枚を挙げるとしたら『As It Is』(ECM1594, 1995)と『Whirlpool』ピアニストとベーシストが同じなのに、だいぶ異なる景色を眼下に眺めることができる。

今回、Palle Danielssonが亡くなられ繋がりのあるミュージシャンを確認する中で、自分の好きなミュージシャンにスウェーデン出身者が多いことにあらためて気づき驚いた。Bobo Stenson(pf)、敬愛するAnders Jormin(b)、Joakim Milder(ts)、Lars Jansson(pf)、Ulf Wakenius(g)、あとE.S.T。そしてもちろん、今回私の2ndアルバム『Mirror of the Mind』にゲスト参加頂いたOve Ingemarsson(ts)も!

スウェーデンを代表する素晴らしいベーシストであるPalle Danielssonの演奏をもう聴くことができないのは寂しい限りである。


中島 仁 Hitoshi Nakajima: bassist
信州安曇野生まれ。地元安曇野で、ヨーロピアンサウンドに影響を受けた自己リーダーのピアノトリオを主軸に活動を続ける。2018年、ヴィブラフォン奏者赤松敏弘プロデュースのもと望月慎一郎(pf)、橋本学(ds)とのトリオにてファースト・リーダー・アルバム「Pioggia」(ピオッジャ)をリリース。2019年、JAPRS(日本音楽スタジオ協会)が主催する『日本プロ音楽録音賞』の「クラシック・ジャズ・フュージョン部門において「Pioggia」が優秀賞を受賞。2024年4月、同メンバーに加え世界的テナー・サックス奏者のオーべ・インゲマールソン氏をゲストに迎えたセカンド・リーダー・アルバム「Mirror of the Mind」をリリース。中島 仁ブログ

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