このコンサート/このライヴ2016(海外アーチスト)#04 シャイ・マエストロ・トリオ Shai Maestro Trio
2016.6.11 20:00 6.12 17:00 Cotton Club Tokyo
Text by Hideo Kanno 神野秀雄
Photo by Yasuhisa Yoneda米田泰久 courtesy of Cotton Club
Shai Maestro (p)
Jorge Roeder (b)
Ziv Ravitz (ds)
今、最も注目したいピアニスト、シャイ・マエストロは、1987年2月イスラエル生まれの29歳。繊細で色彩豊かなピアノの表現力と絶妙なタイム感を持ち、オリジナルな音楽世界を聴かせる。2016年6月には自己のトリオで来日し、期待通りの美しく素晴らしい演奏を聴かせてくれた。2016年11月には『The Stone Skipper』をリリースしている。コットンクラブでのシャイ・マエストロ・トリオでの公演の詳細はこちら。
https://jazztokyo.org/reviews/live-report/post-5535/
シャイは、1月にはマーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテットで、9月にはチリ出身のヴォーカル&ギターのカミラ・メザとのデュオで全国ツアーと、1年間に3回の来日を果たし、さまざまな表情を見せてくれたのも嬉しい。また1月にはニューヨークのWinter Jazz Fest 2016でのライブも見ることができた。それぞれのレポートを参照されたい。
Mark Guiliana Jazz Quartet
http://www.archive.jazztokyo.org/live_report/report874.html
Shai Maestro Trio at Winter Jazz Fest 2016
Camila Meza and Shai Maestro at 青山Body and Soul
(Body and Soulによるライブレポート)
http://www.bodyandsoul.co.jp/2016/09/16073
http://www.bodyandsoul.co.jp/2016/09/16100
実は、2016年、”個人的に”いちばん感動した”一瞬”というのが別にある。ただ読者のみなさんとの共有が難しいのでおまけとして紹介させていただきたい。
ラ・フォル・ジュルネ2016「la nature」
La Folle Journée de Nantes 2016 “la nature”
2016.2.7 12:15 Centre des Expositions de Nantes Metropole
Anne Queffelec アンヌ・ケフェレック(p)
モーリス・ラヴェル(1875 – 1937):鏡 Maurice Ravel: Miroirs
クラウド・ドビュッシー(1862 – 1918):映像 第2集 Claud Debussy Images, Livre 2
半地下の会場から大きな窓を通して、青空、流れる雲、木々の緑、成層圏を飛行機が飛び交うのを眺めながら、アンヌ・ケフェレックが美しく奏でる<鏡>と<映像 第2集>の音に優しく包まれる。何かとても懐かしい切ない気持ちに襲われて、ラヴェル、ドビュッシーの時間と交錯した気さえして、涙が込み上げてきた。一生の思い出となるコンサートになったと思う。それが同じ会場で児玉桃の<鏡>のときでなかったのは、音そのものよりも、児玉のときは曇っていて、アンヌのときに青空と雲の流れであったことが大きい。ともあれ、アンヌのフランス音楽の表現力に圧倒された。(以上、元記事より抜粋)
5月、東京でのラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンでも<鏡>と<映像>が演奏された。マスターコースでの話では、子供の頃のアンヌは、夏休みには親の実家に滞在して、家族で海の近くで過ごし、ずっと空を見ていることも多かったという。そんな体験をきいて、アンヌの繊細な映像的な感覚と音のつながりが少し腑に落ちたように思えた。アンヌは2017年4月に来日予定だ。
ナントの詳細はこちら。→リンク