RIP Lee Konitz by 纐纈雅代
text by Masayo Koketsu 纐纈雅代
リー・コニッツを初めて聴いたのは高校生でした。当時、サックス発表会で〈I Remember April〉を演奏することになったので、リーの吹くこの曲を何テイクかトランスクライブしたのを覚えています。当時はパーカーやペッパーもよくコピーしていましたが、リーは8分音符を長い小節に渡って歌っていく印象を持ちました。当時から豊かな音色と独特の節回し、低く深く乗るスウィング感は私の耳を夢中にさせました。50年代の録音がとくに好きですが、1961年コードレス名盤『Motion』(Verve) のインプロヴィゼーションに捧げる姿はいつ聴いても痺れます。
初めての単身NYの初日にBIRDLANDの最前列でリーのステージを聴いた夜も思い出深いです。私は、今まで味わったことのないような心地よい音色に浸りながら不覚にも眠ってしまったのです。終演後、リーに「good sleeping?」と声をかけられました。私はすぐに大弁解すべく、昼に空港に到着したばかりであること、時差ボケであること、自分もアルトサックスを吹いていること、沢山のCDを持っていることなどを伝えました。リーは大笑いしてハグしてくれました。
これからも、リーのアルトはJAZZを愛する沢山の人の心の中で生き続けていくと思います。合掌。
纐纈雅代(こうけつ・まさよ)
岐阜県生まれ。アルト/テナー・サックス奏者。2008年Ssony Musicより『鈴木勲 Solitude Feat.纐纈雅代』でデビュー。2015年8月、自身のオリジナル曲を集めた1st アルバム『Band of Eden』をリリース。自伝『音の深みへ』(彩流社)。2020年5月、リトアニア NoBusiness Recordsより『フランソワ・キャリリール|纐纈雅代|不破大輔|井谷享志/Japan Suite』をリリース予定。