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R.I.P. ジャック・ディジョネットNo. 332

ジャズスタンダードにおける優雅で深遠なアプローチ by 納 浩一

Text by Koichi Osamu 納 浩一

ジャック・ディジョネットを初めて聴いたのは、大学2年の頃。その頃の記憶を紐解くと、その作品はパット・メセニーの「80/81」だったように思います。

まだジャズを始めて間がない、スタンダードもまともに演奏できない頃だったのですが、当時の僕は、とにかく友人が勧める作品ならなんでも聴こうという姿勢でした。そして幸か不幸か、僕の周りにはECM系の音楽が好きな輩が多く、そんな連中に勧められた作品が、パット・メセニーやジョン・アーバクロンビー、リッチー・バイラーク、そしてキース・ジャレットといった人達のアルバム。
普通ならまだ、もっとストレートな黒人系ジャズを聴いていてもよかったようなジャズ初心者だったのに、です。

そしてそういったアルバムの多くに参加していたのがジャック・ディジョネットでした。
明らかにフィリー・ジョーやジミー・コブ、あるいはエド・シグペンやアート・ブレイキーといった、1950~60年代のレジェンドたちとは違う独特のドラミングでアルバムのサウンドを支えていた、そんなジャックの演奏に大きな影響を受けた記憶があります。

そんな当時の僕にとって最も印象に残った作品が、キース・ジャレットとのトリオでのアルバム『Standards Vol.1』でした。車でドライブしたり仕事に向かうときには、必ずといっていいほどいつも爆音で聴いていました。
「ああ、こんな風にスタンダードを演奏したい!」
それが僕にとってのスタンダードジャズの演奏における原点かもしれません。
それは、キースの独特のスタイルだけでなく、ジャックとゲイリー・ピーコックが織りなす優雅で深遠なアプローチがあったからこそだと思います。
まさにワン・アンド・オンリーなドラマー、そしてピアニストでもあるジャック・ディジョネットのご冥福を心よりお祈りいたします。

【Jazz Tokyo寄稿記事】
特集『ECM: 私の1枚』 納 浩一『Keith Jarrett / Standards, Vol.1』
ゲイリー・ピーコック、まさにワン&オンリーなベース・スタイル by 納 浩一


納 浩一 Koichi Osamu
ベーシスト。京都大学卒業後バークリー音楽大学に留学。1987年に同大学作曲編曲科を卒業。1996年~2008年にわたって、渡辺貞夫グループのレギュラー・ベーシスト務めた。1997年7月、初リーダーアルバム『三色の虹』を、2007年に2作目のリーダーアルバム『琴線/ The Chord』をリリース。2022年7月、総勢36名のミュージシャンを集めて作った3作目のリーダーアルバム『CODA』を発表。プロデュース、作曲、作詞、編曲全てを手がける。またジャズのスタンダード集「ジャズスタンダード・バイブル1・2」「ジャズスタンダード・バイブル・フォー・ボーカル」「ジャズ・スタンダード・セオリー」(リットーミュージック)を出版。
オフィシャルホームページ osamukoichi.net

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