#1243 Incognito

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text by Hideyuki Kiuchi 木内秀行
photo by Yuka Yamaji 山路 ゆか / BlueNote Tokyo

Incognito
2022年12月8日 Blue Note東京

Jean-Paul ‘Bluey’ Maunick (g)
Joy Rose (vo)
Cherri V (vo)
Natalie Duncan (vo)
Joe Motter (tp)
Trevor Mires (tb)
Simon Allen (sax,fl)
Charlie Allen (g)
Francis Hylton (b,MD)
Francesco Mendolia (ds)
João Caetano (per)
Chicco Allotta (key)


ワタシがかつて神戸で司法修習をしていた1993年頃、心斎橋にあったタワーレコードをブラブラしていたら、突如天啓のように〈Still A Friend of Mine〉がかかってハートをわしづかみされ、as soon asでこの曲が入ったアルバムの『Positively』を買った。当時好きだったジャズにソウルミュージックの躍動感が加わって黒光りするグルーヴを奏でるIncognitoをすごく気に入った。

以来29年経ち、Incognito が来日するというので一度生で見てみたいと思い、2022年12月8日のブルーノート東京での Incognito のライヴに行ってみる。

20時45分から始まるセカンドセットに行ってみると満員御礼巨人軍。観客の年齢層が極端に高い。平均年齢を算出したら軽く還暦前後には達するであろう。なんせIncognito は40年もやっているのでそりゃまぁ年齢層高いわ。若い人が意外と少ないのが気になるところ。

それにしても Incognito のようなド直球の黒いグルーヴを目の当たりにするのは実に久々。黒いグルーヴというと、2022年5月くらいに Love Supreme Jazz Festival に行ってそこで Robert Glasper を聴いた。しかし、Robert Glasper の場合、ソウルの他、ジャズやヒップホップなど様々な音楽を統合したうえで、七色の変化球を投げつけてくるような変幻自在な音楽を仕掛けてくる。

Incognito はそれと異なりド直球の黒いグルーヴ。Incognito はファンキーでグルーヴィーでヒップでソウルフルでそしてクールな音楽を直球ど真ん中で観衆にブッこんで来て、観衆はその黒光りして躍動感ある音楽を聴いて踊って楽しめる。

この新型コロナのご時世でなければ観衆は1曲目からオールスタンディングで盛り上がってグルーヴできたことであろう。それでもこのライヴではワタシがかつて『Positively』や『Tribes, Vibes + Scribes』で聴いた曲が次々と出てきて楽しめた。「あ~やっぱり長いことやってるからツボをよく抑えているよな~」と感心しきり。当然〈Don’t You Worry About The Thing~♪〉と有名なスティーヴィーのカヴァーもやってくれた。これをやらないと多分客が帰してくれないだろう。

Bluey のアナウンスで「昔は一旦引っ込んでアンコールで出てきてもう1曲やったんだけど、今は年をとってそういうのは難しい。もう一曲聴きたい?」ということで、最後に〈Morning Sun〉が演奏された。大勢の人がサビの部分での手ぶりをやっていて大盛り上がり。20年前の曲だというのにみんなよく覚えているな~。熱心なファンが詰めかけているのが実によくわかる。

新型コロナのご時世ですっかりライヴもご無沙汰になり、Incognito のような黒光りするド直球のグルーヴを全身に浴びる機会も貴重になった。それでも少しずつ以前と同じように遊びに出かけることができるようになりつつあってうれしい。

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木内秀行 Hideyuki Kiuchi
1965年群馬県高崎市生まれ。1989年中央大学法学部卒業。 1993年早稲田大学大学院法学研究科修了。 1999年ペンシルヴェニア大学ロースクール修了。弁護士(日本国・米国ニューヨーク州)。中学生の頃 YMOを聴いて音楽に開眼し、その流れでフュージョンに親しんだ後、大学2年生の時 Bill Evans を聴いて一生ジャズを聴いていこうと決意する。ジャズに親しんで司法試験合格が遅れるが、「ジャズなくして何の人生かな」と一片の反省もない。現在もジャズや R&B など幅広く日常的に聴いている。


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