JazzTokyo

Jazz and Far Beyond

閲覧回数 78,815 回

Local(国内)News

【公演追加】藤田真央 モーツァルト ピアノ・ソナタ全曲演奏会

Photo: ©Eiichi Ikeda

Mao Fujita plays Mozart at Zaryadye Festival

Text by Hideo Kanno 神野秀雄

藤田真央 モーツァルト ピアノ・ソナタ全曲演奏会
Mao Fujita Mozart Piano Sonata Cycle
第1回(全5回) ~清らかな始まり~
1. “Pure Beginning”

2021年3月19日(金) 18:45 名古屋・三井住友海上しらかわホール 
2021年3月21日(日) 14:00 金沢・北國新聞赤羽ホール
2021年3月28日(日) 14:00 東京・王子ホール
【追加】3月29日(月) 19:00 東京・王子ホール
※3月29日追加公演チケット 電話のみ 発売日:2021年1月18日(月) 10:00 (18日のみ10:00〜)
王子ホール チケットセンター 03-3567-9990 11:00〜17:00(土日祝日休)

ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト:
ピアノ・ソナタ 第7番 ハ長調 K.309
フランスの歌「ああ、お母さん聞いて」による12の変奏曲 ハ長調 K.265
ピアノ・ソナタ 第16番 ハ長調 K.545
6つのウィーン ソナチネ 第1番 K.439b
ピアノ・ソナタ 第1番 ハ長調 K.279
ピアノ・ソナタ 第10番 ハ長調 K.330

Wolfgang Amadeus Mozart:
Die Klaviersonate Nr. 7 in C-Dur, K.309
Variationen über ein französisches Lied ‘Ah,vous dirai-je, maman’ C-Dur K.265
Die Klaviersonate Nr. 16 C-Dur, K.545
Wiener Sonatinen No.1 K.439b
Die Klaviersonate Nr. 1 C-Dur, K.279
Die Klaviersonate Nr. 10 C-Dur, K.330

藤田真央が最も敬愛する作曲家モーツァルトのピアノ・ソナタ全曲を全5回にわたって演奏するコンサートが各地で開催される。藤田は18、19歳頃に着想したこの全曲演奏会を自らのピアニストとしての大きな“幹”のようなプロジェクトになるものと自認している。12月5日放映の「題名のない音楽会」に出演した「藤田真央がモーツァルトのピアノ・ソナタを弾く音楽会」も大きな評判となった。コンサート第1回はすべてハ長調というこだわりを見せ、今後の構成も楽しみだ。

藤田真央は、1998年東京生まれ。2019年6月チャイコフスキー国際コンクールで第2位を受賞し、ネットでも世界に配信され、マエストロ・ワレリー・ゲルギエフの「MAOの存在は今回のコンクールのサプライズだという」賛辞とともに一躍脚光を浴びる。実は第一次予選で弾いたモーツァルト<ピアノ・ソナタ 第10番 ハ長調 K.330>が、聴衆の心を鷲掴みにしてスタンディングオベーションに。控え室には何人かの審査員が押し掛け、新聞にまで取り上げられる騒ぎとなっていた。このエピソードからも藤田のモーツァルトがすでに比類ない領域に到達していることを教えているが、藤田のモーツァルトへの探求はどこまでも続いて行く。いまの藤田を知るコンサートして最高の機会となると思う。


©Eiichi Ikeda

コンクールの入賞記念ガラ公演では、ワレリー・ゲルギエフ指揮マリインスキー歌劇場管弦楽団と共演し喝采を浴び、これを機に、ワレリー・ゲルギエフの信頼を得て世界各地で共演している。2020年12月13日(日)03:00〜19日(土)深夜27:00の期間限定で、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団とのコンサートが期間限定で配信される。藤田真央はベートーヴェン<ピアノ協奏曲第4番>を演奏する。視聴はこちらから

この他、映画『蜜蜂と遠雷』では、10代の風間 塵役の演奏を担当。「ラ・フォル・ジュルネ・ド・ナント 2020〜ベートーヴェン」のコンサートレポート原田慶太楼との対談「Music Today」もご参照いただきたい。2020年3月、東京音楽大学を卒業し、「第21回ホテルオークラ音楽賞」「第30回出光音楽賞」を受賞。

今後はベルリンを留学と活動の拠点とし、ハンス・アイスラー音楽大学でキリル・ゲルシュタインに師事する予定だ。藤田は原田慶太楼との対談でキリルについて語っている。。キリルは、2021年1月に来日しピアノリサイタルを行う

キリル・ゲルシュタインは1993年にバークリー音楽大学のサマースクールに招聘され、14歳で史上最年少のバークリー音楽大学生となりジャズを学ぶ(2020年12月、恩師ゲイリー・バートンを招きジャズのオンラインセミナーも開催)。その後、クラシックをマンハッタン音楽学校(Manhattan School of Music)に学び、20歳で音楽の修士号を得ているので、キリルの音楽の幅の広さと探求の深さからの藤田への影響にも注目したい。

1月16日〜18日にはドイツ・グラモフォン「DGステージ」から、ベルリンで収録された「藤田真央ソロ・ピアノ・リサイタル」が期間限定で配信される。COVID-19の難しい時期にあっても日本だけでなく、ロシアやドイツでも演奏活動を続け、未来を見据える藤田には期待が止まらない。

【藤田真央からのメッセージ】
5回にわたる『モーツァルト:ピアノ・ソナタ全曲演奏会』を行えることを、心から嬉しく思っています。
モーツァルトが作品番号のついたピアノ・ソナタを書き始めたのは18歳から19歳のころ。オペラ上演が成功するなど乗りに乗っていた時期です。私もちょうど同じ年齢のころに構想した“全曲演奏会”は、ピアニストとしての大きな“幹”のようなプロジェクトになると思っています。
初回「清らかな始まり」で演奏する曲は、すべてハ長調。“ド”から始まる音階は、第1回にぴったり!と考え決めました。
モーツァルトの作品は、提示部・展開部・再現部という構成があり、そこに彼の美学が表れています。と同時に、彼の音楽の魅力は、次から次へと形や色を変え、光や影をまとったり払ったりしながら、どんどん変化していくこと。そこにモーツァルトの“お茶目でいたずらっ子”な人となりを感じます。なんとなく私の性格とも似てるかな…と思うこともしばしば、です。どんな発想(インスピレーション)やニュアンスを吹き込めるのか、愉しい試行錯誤を続けています。
ステージでモーツァルトを弾いている時は、夢を見ているような気持ちになります。
一緒に、そんな夢の時間を過ごしていただければ嬉しいです。

藤田真央 モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第10番 ハ長調 K.330
チャイコフスキー国際コンクール 第一次予選

神野秀雄

神野秀雄 Hideo Kanno 福島県出身。東京大学理学系研究科生物化学専攻修士課程修了。保原中学校吹奏楽部でサックスを始め、福島高校ジャズ研から東京大学ジャズ研へ。『キース・ジャレット/マイ・ソング』を中学で聴いて以来のECMファン。Facebookグループ「ECM Fan Group in Japan - Jazz, Classic & Beyond」を主催。ECMファンの情報交換に活用していただければ幸いだ。

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください