#2180 『John Scofield』
『ジョン・スコフィールド』

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Text by Hideo Kanno

『John Scofield』
『ジョン・スコフィールド』
ECM2727 / ユニバーサル UCCE-1192 (2022年5月6日)

John Scofield: Electric Guitar and Looper

1. Coral (Keith Jarrett)
2. Honest I Do (John Scofield)
3. It Could Happen You (Jimmy Van Heusen/Johnny Burke)
4. Danny Boy (Traditional)
5. Elder Dance(John Scofield)
6. Mrs. Scofield Waltz (John Scofield)
7. Junco Partner (Traditional)
8. There Will Never Be Another You (Harry Warren/Mack Gordon)
9. My Old Flame (Arthur Johnston/Sam Coslow)
10. Not Fade Away (Buddy Holly/Norman Petty)
11. Since You Asked (John Scofield)
12. Trance De Jour (John Scofield)
13. You Win Again (Hank Williams)

Recorded August 2021
Top Story Studio, Katonah, New York
Engineer: Tyler McDiarmid
Mastering: Christoph Stickel
Cover photo: Luciano Rossetti
Design: Sascha Kleis
Executive producer: Manfred Eicher

ECMからリリースされた前作のスティーヴ・スワロウ・ソングブック『Swallow Tales』から2年を経て録音されたのが、ジョン・スコフィールド“初のソロアルバム”、その名も『John Scofield』。COVID-19下の2021年8月にニューヨーク州カトナの自宅で録音された。

2020年の国際ジャズデイには自宅からのギターソロが世界に配信されたが、この頃は多忙だったツアーの日々もキャンセルになり、自宅に籠ってソロで演奏する機会が増える中で、ギターの演奏を内省的に研ぎ澄ませていく。ただ、50年以上に渡ってバンドとして演奏して来て、純粋なギターソロではなく、その中間に位置するものとして「ルーパー」を使いながら一人でバンド的な発想での音創りを行う。ルーパーとは、任意の長さの演奏をサンプリングしてループさせるもので、ECM周りをはじめいまどきのギタリストはルーパーを多用して厚くトリッキーなサウンドやグルーヴを作ることも日常的となっている。ジョンの場合は、まとまった長さのバッキングやフレーズをサンプリングしているので、でき上がりとしてはセルフデュオを軸にエフェクトが効いたような印象で、心地よいサウンドを創り上げた。演奏前にあらかじめサンプルを仕込んでおくというやり方ではなく、基本的に演奏中にサンプルして使っているようで、どの音もその瞬間瞬間でのジョンの音であることは担保されている。

1951年生まれのジョン・スコフィールドは、やがてマイルス・デイヴィスとの共演で、また日本では日野皓正・日野元彦との共演で知られるようになるが、出発点にはカントリーやロックンロールがあり、ジョー・ヘンダーソン、チェット・ベイカー、ジェリー・マリガンとのバンド、ゲイリー・バートンのバンドなども経由していて、その中で受けてきた影響と身に付けてきたイディオムをそれぞれの曲で知ることができる。1曲目は1970年代キース・ジャレットがトリオで演奏していた美しいバラード<Coral>に始まり(キースの公式録音がなく、ゲイリー・バートンとジョンが何度か録音している)、 オリジナルとスタンダードも交えながら、ハンク・ウィリアムスの<You Win Again>で締め括る。今のジョンの脳内で生まれるサウンドをストレートに心地よく聴くことのできるアルバムだ。


©Nick Suttle / ECM Records

John Scofield – Jazz Day at Home 2020
Self Portrait in Three Colors (Charles Mingus)

神野秀雄

神野秀雄 Hideo Kanno 福島県出身。東京大学理学系研究科生物化学専攻修士課程修了。保原中学校吹奏楽部でサックスを始め、福島高校ジャズ研から東京大学ジャズ研へ。『キース・ジャレット/マイ・ソング』を中学で聴いて以来のECMファン。Facebookグループ「ECM Fan Group in Japan - Jazz, Classic & Beyond」を主催。ECMファンの情報交換に活用していただければ幸いだ。

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