JazzTokyo

Jazz and Far Beyond

投稿者: 細田成嗣

特集『配信演奏とポスト・コロナ』No. 266

音楽の実験性を肯定すること——ポストパンデミック時代を生きる集団即興あるいはメディア・アートについて

むしろ資本の論理に従って生き延びることだけが正義とされる状況であればこそ、よりよく生きることを持続するための道を模索し、アンダーグラウンドな音楽活動を継続していくことを積極的に肯定する必要がある。

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CD/DVD DisksNo. 235

#1458 『Christian Meaas Svendsen / Avin』

ノルウェーのグループNakamaのベーシストとしても知られるクリスティアン・メオス・スヴェンセンによる新作は、アヴァンギャルドかつエクスペリメンタルなこれまでの彼のイメージの斜め上をいくような、極上の「歌もの」に仕上がっている。スヴェンセンの関心領域の幅広さと音楽的能力の高さを知らしめる傑作だ。

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CD/DVD DisksNo. 229

#1407『Rema Hasumi 蓮見令麻 / Billows of Blue』

蓮見令麻率いるピアノ・トリオによる最初のアルバムは、ピアノの奏法とインタープレイの在り方において菊地雅章からの深い影響を感じさせるが、その声の特異性においても響き合うものがある。それはピアノの旋律をなぞるときでさえ「うたい損ね」ではなく損なわれることのない「うた」そのものなのだ。

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CD/DVD DisksNo. 228

#1398『V.A (大塚広子監修選曲) / PIECE THE NEXT JAPAN BREEZE』

DJ/プロデューサー/文筆家として多方面で活躍してきた大塚広子による、現代日本のジャズ・シーンを取りまとめたコンピレーション・アルバムの第三弾。『Jazz the New Chapter』シリーズがあえて取り上げることのなかった日本の現代ジャズ・シーンに触れてみるための、貴重なリアルタイム・ドキュメンタリー・アルバムである。

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CD/DVD DisksNo. 228

#1388『Stephan Crump | Ingrid Laubrock | Cory Smythe / Planktonic Finales』

作曲の否定や即興の称揚というよりも、インプロヴィゼーションによって現れるだろうオルタナティヴな構造化――スポンティニアス・コンポージング――の探求。少なくとも本盤に残された有機的に発展していく「即興音楽」は、そうした行為のありようを物語っている。

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CD/DVD DisksNo. 203

#1161 『Mostly Other People Do the Killing / Blue』

このアルバムを聴くわたしたちが巨人の名演を見出してしまうということ――それはジャズの本質としての即興性/一回性や、演奏者に固有の音楽といったものに対して、録音物を通して心酔していた聴衆が、果たして本当は何を聴いていたのかということを明らかにするための、ジャズの側からの苛烈な批評として受け取ることができるのではないだろうか。

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