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Jazz and Far Beyond

Toshinori Kondo

CD/DVD DisksR.I.P. トリスタン・ホンジンガーNo. 305

#2259『Toshinori Kondo, Tristan Honsinger: This, That & The Other』

アルバム・タイトルが示唆するとおり、コミュニケーションの極意は「分かりあえなさ」であることを知り抜いている。それ故の同時発話的な自由。演劇的・室内楽的な構築性を保ちつつ、フォーキーかつフリー、等しく個々の断片も光る。/ As the album title indicates, they know the fact that the essence of communication is its impossibilities for mutual understanding, then, followed by “all-at-once-ness” in the chatty but not-crowded mood. While keeping theatrical, chamber music-like constructability, the composition of Tristan Honsinger makes junctures for folky and free approaches, equally emphasize the tension of individual fragment.

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CD/DVD DisksR.I.P. 近藤等則No. 272

#2036 『近藤等則/月刊 Beyond Corona 1~5』

「ライヴができないなら動画配信」が主流になってきた昨今、日本の一都市・川崎の片隅で、極めてアナログな流通形態にこだわりながら日々発信し続けた近藤等則のミュージシャン魂と矜持、その無窮(むきゅう)の音世界は、かけがえのないギフトとして今こそ深く心に刻まれるべきだ

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R.I.P. 近藤等則No. 271

Toshinori Kondo Remembering. percussionist Andrea Centazzo
近藤等則追憶 percussionist アンドレア・ツェンタッツオ

じつはこの9月にデュオ・ツアーとレコーディングを計画していたのだが、パンデミックのためすべての可能性がつぶされてしまった。最後の会話は、再演を2021年に延期しようということだったのだが..。

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R.I.P. 近藤等則No. 271

朱夏に〜近藤等則『日本の秋』

毒・華・土性骨—これらを兼ね備えるステージ人は稀有である。
アーティストにとって最も大切なのは唯一無二の個性だが、近藤の音には一聴すればたちどころに誰だかわかる強烈なビートと香気がある。巧い/下手で語る次元が霞(かす)む毒性。その衝撃は、視覚よりもはるかに速い。

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R.I.P. 近藤等則No. 271

近藤等則とエレクトリック・トランペット~2000年代の近藤等則とその機材たち
editor/engineer 沼田 進

近藤等則のエネルギー体は、常日頃のライブ・パフォーマンスに於いても、惜しげなく放たれ、人々を魅了し続けてきた。最晩年、コロナ下でのライブの「レスポンスの無さ」を嘆く近藤等則がいた。

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ヒロ・ホンシュクの楽曲解説R.I.P. 近藤等則No. 271

ヒロ・ホンシュクの楽曲解説 #60 近藤等則 <Metallic Bamboo>

近藤等則は日本人にしかできないビート音楽を目指していたのだと思う。筆者にとってはマイルスの影響が強く聞こえ、かつマイルスがやらなかったディスコビートに賭けた近藤を分析してみた。彼の驚くほど豊富な斬新なアイデアや、洒落たコミカルな部分や、歌のうまさや、コロナ渦に入ってさらに自宅から5枚のアルバムを出すその精力。偉大なアーティストを亡くした。

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CD/DVD DisksR.I.P. 近藤等則No. 264

#1969 『Kondo IMA21/Live Typhoon 19』

警鐘となりえる芸術は、今どれほどあるのだろう。相も変わらず、商業主義の上に乗った現状を照らしただけの、描写的なものが幅を利かせているのではないか。近藤等則の音楽は、いつも根治的で潔い。直に病巣に斬り込む。何が急務なのかは、今の地球の悲鳴を聴けば明らかだろう。

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Concerts/Live Shows~No. 201R.I.P. 近藤等則

#78 近藤等則 meets トム・レイズ/VISIBLE SOUND

トム・レイズは近藤等則のサウンドを無意識下の身体でじっと受け止め、湧き起こる内なる衝動をキャンバス上に描く。近藤の音位相は不思議なくらいナチュラル。そのヴァイブレーションで小さなスペースの中にユニヴァーサルな音空間が現われる。近藤が発するビートに呼応して体を揺らしながら描くレイズ姿はダンサーのようでもあり、音楽への反応の仕方はミュージシャンのようでもあった。

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