Jazz and Far Beyond
渡辺白泉のよく知られた句に「戦争が廊下の奥に立ってゐた」というのがある。それを今に例えるならば廊下の奥に立っていたのはコロナだが、その向こうのポストコロナはまだ見えない。その全ては現在の試行錯誤なくしてあり得ないだろう。それも生き延びてこそ、なのである。
掲載の写真は、1996年、キングレコードでの『ミュンヘン・セレナード』録音時のスナップである。
違反なのでポリスが来て調書を取られた。名前を聞かれたコニッツは「フィル・ウッズだ」と答えるんですよ。真面目な顔して。
いつまでも未知なるものへの探究心を忘れないリー・コニッツのスタンスにいつでも励まされています。
彼のあまりに多い作品数、幅広い世界観、どれもに共通した素晴らしい音色、に敬服しました。やはり巨人でしたね。
時代が経つにつれ一般からその名が忘れられるにせよ、その道を追及する人が常に思い起こす事になる智慧と技術の最良の手本として、コニッツはその名を残したのだと思います
同時代を生きその素晴らしい音に直接触れる機会を何度も持てたことで、影響を受けたサックス奏者の中でもコニッツさんは特別な存在でした。
50年代の録音がとくに好きですが、1961年コードレス名盤『Motion』のインプロヴィゼーションに捧げる姿はいつ聴いても痺れます。
少し暗い街角の石畳に空から光と天使の歌が降りそそぐ。そこにリー・コニッツが居る。いま彼はどこに居るのだろう?
Leeは、本当に美しい心の持ち主だった。目を瞑れば、いつだって空から彼の音が聴こえてくる。
正確なピッチを求め、クラシカルな要素を孕みつつサブトーンを織り混ぜたそのトーンは、正にサックスの美しさの結晶と言えるだろう。
数年前のニューポートジャズフェスで、スポーツウェアに身を包み素晴らしい演奏を聴かせてくれたリー・コニッツさんを描きました。
リーは一身に尊敬の念を集めていたが一般的な人気はというとそれほどでもなかった。それも宜なるかな。しかし、それは音楽性とは関係のない話である。
『リー・コニッツ&ダン・テファー/ディケイド』(Verve 2018)
2019年12月、初来日。埼玉・越生「山猫軒」での演奏(纐纈雅代as、不破大輔b、井谷享志ds)が2020年、リトアニア NoBusiness Recordsから『Japan Suite』としてリリース予定。
ジャズへの献身的な愛を持ち、心は若く冒険心に溢れていました。
最近の若い世代のジャズミュージシャンは、ジャズが継承されてきたルーツがアフリカ音楽やブルースにあるということを忘れつつある。
Ryoは、自分のサウンドとフレージングを持った優れたギタリストだったが、作曲の才能も兼ね備えており、いつも新作に向けて素晴らしいマテリアルを用意していた。
あのギル・エヴァンスがジミ・ヘンドリンクス死後に『プレイズ・ジミ・ヘンドリックス』のギタリストにRyoさんを抜擢した。
自宅のパソコンも店のパソコンも携帯も“りょう”と打って変換するとかなり上の方で“燎”と出る。
ジョアン・ブラッキーンと川崎燎のデュオ作に『Trinkets And Things』(Timeless 1978) がある。
彼の即興に関わる技術は天才といえるほどのマスター・レヴェルに達しており、数多くの音楽ソフトウエアや楽器の設計においてもまた然り。
2年前に90歳でまだ元気にヨーロッパツアーをしていたリー・コニッツがCovid-19に倒れた。歴史にしっかりと足跡を刻み込んだコニッツ、その人気の謎を探る。楽曲解説部分ではブラッド・メルドーと触発しあってエキサイティングなインプロラインを生むその様子を掘り下げてみた。
1950年代に流行した『ニュールック』のエラ・フィッツジェラルドとマリリン・モンローの関係について。
何のお構いもできませんが、ひとつ私と一緒に「ライブ・ハウス」の座席に腰かけたおつもりで、我が国が誇る表現者達の演奏に耳を傾けて頂いた気分に少しでもなって頂ければ幸いである。
私は、焼け野原となった地に芽吹くものを聴くだろう。それがどんな音楽なのか。育ててみないと、花が咲かないとわからない。
ジュゼッピ・ローガンとヘンリー・グライムスは、ニューヨーク市での Covid-19 感染拡大による犠牲者となり、生まれた年も同じ1935年であるという以外に、その経歴に多くの共通点がある
コロナウィルスの犠牲者のなかにハル・ウィルナーの名を発見して愕然とした。プロデューサーとして紹介されるが、その名から想像される業務とは別格のアーティストとして敬意を払ってきたからだ。
50年以上前の一夜、人気トリオにとってはびーた(旅)の一日にすぎなかったかもしれないステージを、会場最年少の客は今でも忘れていない
この時点でコニッツの異彩を見抜き、3枚のアルバムを制作したジョージ・ウィーンの慧眼はさすがというべきだろう。
三人のミュージシャンが、密閉されたスタジオで、体を寄せ合い密集して、濃厚かつ密接な音の交感により生み出した生々しいブルース魂が宿った音楽ドキュメンタリーである。
ガトー・リブレはひとつひとつの楽器の音が尊重され際立つユニークなグループである。シンプルにして豊饒、淡々としながらも変貌を続ける音世界。
ここには本家の極上のスイング感は全くない。その代わりにヨーロッパジャズが持つ独自の静謐さの中に育まれる極上のノリがある。
土台にあるのはジャズのようだが、様々なジャンルのギター奏法をマスターしていることがわかる。
音量と音質がイーヴン。生楽器の身体性が成功裡に飛躍する。
『Manala』が奏でる豊穣の音楽は、ロムスとコスキネンの個人的なルーツであるだけでなく、遍く人類すべてが生まれてきた原初的記憶をたどる旅路を示している。それこそが音楽の冥界巡りの醍醐味と言えるであろう。
ハーブ・ロバートソン、デイヴ・バルーというふたりの対照的なトランぺッターは、トム・レイニーの叩き落とすがごときドラミングによるリズム、ドリュー・グレスのベースが創るプラトーの上で遊泳する。
抒情的な言葉を後付けで述べるのは簡単だが、それを拒む。柔和だがなかなか強靭な自律性。
エリック・ミヤシロ編曲によるビッグバンドを従えた、2019年12月大阪でのコンサートを収録。
青山ボディ&ソウルで活動して来たスーパートリオ。新曲の魅力、音色の繊細さと多彩さ、それを浮かび上がらせる録音が素晴らしい。
4月30日の国際ジャズデイを祝って89組のアーティストによるオンライン・ジャズ・フェスティバルを開催。アーティストと観客を結びつけ大成功となった。
フランス・ナントのLFJは成功裡に閉幕したが、東京は中止となった。関連動画とともにレポートするので少しでもお楽しみいただきたい。
しかも楽器の音色、深み、残響、明瞭さ。アコースティック録音の見本と評価したい。
情景とサウンドが結びついて、絶好のサウンドに仕上がって、聴きごごち満点。
当然、音質にも神経が注がれて、それが小さな音量でありながら、存在感が大きい印象となるミックスは見事。
心地いいギターの音色が濃厚、接近音で充満。見事な録音手法だ。
ミックスの技術でサックスが左右空間に広げられたり、センターに定位で鋭い印象を受けたり。
クールジャズ期から現代まで活躍したアルトサックス奏者で、ECMでの2枚も含め2019年まで精力的に活動したリー・コニッツが新型コロナウイルスのため92歳で亡くなった。