JazzTokyo

Jazz and Far Beyond

投稿者: 細川周平

特集『私のジャズ事始』

「ナベサダとジャズ」とボクとラジオ  細川周平

ニッポン放送には午後11時40分だったか、少し聴取者平均年齢が上がる時間帯に「ナベサダとジャズ」という毎日の番組が、渡辺貞夫カルテットのスタジオかホールの特別録音を流していた。レコードではない。それで午前0時を迎えるのが高校受験生の日課だった。

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Concerts/Live ShowsNo. 299

#1250 「感じる―鈴木昭男と宮北裕美のありかた」オープニング・パフォーマンス

目と耳が呼応するのはいつものことだが、空間の物語・感覚的構成と共鳴して特別細やかに感じられた。場所作りから始めて時間をかけて対等なパートナーとして共同制作する経験はこれまでになく、互いの発見があったそうだ。私たち観客は二人の見かけ以上に親密な世界に招き入れられた。

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Concerts/Live ShowsNo. 297

#1245 【コンポステラ〜星の広場で(Fiesta de Compostela)vol.2】
~篠田昌已没後30年~ 2days

生活向上委員会、じゃがたら、コンポステラ、東京チンドンなどで活躍したが、1992年に早逝したサックス奏者篠田昌已の命日(12月9日)と誕生日(12月8日)に合わせた30周忌に、協演した楽士と、後から知った若い世代合わせて20数名が、大熊ワタルの呼びかけで集まった。

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Concerts/Live ShowsNo. 293

#1231 高瀬アキ+岡登志子「キッチン」

『キッチン』は神戸を拠点におくダンサー岡登志子と高瀬アキの共同作品。コロナ禍のために3年間延期のうえの上演である。食べることは生きることをモットーに、子どもに観客を広げた演出で、素敵な衣装のスパイス娘のトリオが軽々と飛び回ったり、つまみ食い小僧のトリオが…

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R.I.P. チック・コリアNo. 276

1972年、チック・コリアに夢中 by 細川周平

今、流転を経たうえで「かもめ」を聴いている。生活の各方面で負の力にめげそうになるなか、フローラの声とチックのフェンダー・ピアノは、懐かしさ以上に、深く心に響く。ラブではなくピースを歌っている。ただし何か行動を促すメッセージはない。この絶対的な平安は涅槃の境地ではないかと近頃思う。

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R.I.P. ランディ・ウェストンNo. 246

ランディ・ウェストン追悼

ランディ・ウェストンを追悼する場所として、京都のジャズ喫茶Lush Lifeほどふさわしい場所はない。マスターの哲ちゃんご夫妻は4度の招聘の中心にあったからだ。店でランディのLPを向こうの通夜の日取りでかけてもらいながら訊いた話を混ぜ、三人分の弔意を送りたい。

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Concerts/Live ShowsNo. 237

#997 Sicilian Dream:
映画上映会 『Sicily Jass – The World’s First Man in Jazz』
フランチェスコ・カフィーソ・デュオ・コンサート

カフィーソのたくましいうえに優しい最初の低音で釣り込まれた。「自分の音」を最初の一秒で響かせた。こんな突き飛ばすような一撃はめったにない。一発目で切り札のような「これ」を聴かせ、後は自在な音色とフレージングで走り切る。爽快な波に乗せられ遊ばれているような時間をすごした。

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